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Step9: J-REITの銘柄選びはどのようにすれば良いのだろう


(1)テーマを決めた買い方

 テーマを決めた買い方ができます。例えば、今後、オフィスマーケットが良くなると判断して、オフィス特化型のJ-REITを購入する。例えば、ある地方の経済が回復することを見越して、その地方への投資比率の高いJ-REITを購入するといったものです。一方で、分散投資(どこかが悪くなっても他でカバーすることができる)を第一にして、さまざまなタイプのJ-REITに投資を行うという方法もあります。
 またテーマではありませんが、分配金が半年毎に支払われることに着目して私設年金のようなものをつくることも可能です。毎月、必ずどこかのJ-REITが決算期を迎えています。ということは、毎月どこかのJ-REITが決算を迎えるよう重複しないように投資をすれば毎月、分配金を受け取ることができるようになります。


(2)J-REITの投資指標1…PER(株価収益率)、FFO倍率、
                 予想分配金利回り


 株式投資の投資指標としてはPER(株価収益率)が有名です。企業の稼いだ純利益(一株当たり当期純利益)に対して株価が何倍まで買われているのかを見る指標で、利益水準が高ければ株価も高いという考え方です。通常、利益には予想利益を利用します。
この考え方はJ-REITにも使えます。一口当利益を2倍しているのは、6ヶ月決算のJ-REITの利益を年換算するためです。J-REITの銘柄毎にPERを計算すると20倍台から30倍台までばらつきがあります。例えばビルを売却して利益が計上されているようなケースでは、利益水準が定常状態よりも高いためPERが低めに出てしまうこともありますので注意が必要です。こうした特殊事情を排除するためにFFO倍率という指標もあります。FFO(Funds From Operation:キャッシュフローの概念に近い)は純利益減価償却費を加え(キャッシュフロー)そこから不動産の売却益等を控除したものです。米国のREIT市場では一般的な指標ですが、日本では、今のところ一般的な指標とはなっていません。今後、J-REITの保有資産売却が増えれば使われる機会も増えることが見込まれます。
 J-REITの場合、PERの逆数は予想分配金利回りになり、年換算(2倍)した予想分配金を株価で割ったものです。一般企業の場合は、利益を全て分配することは稀で、利益を新たな事業のために内部留保します。しかしJ-REITの場合は、利益=分配金額とほぼ考えても良いためにこの等式が成り立つのです。予想分配金利回りは、直観的にわかりやすいために、また比較的高い利回りであることなどから、J-REITにおいては最も一般的な株価指標となっています。もちろん、分配金利回りにおいても高いものが割安で、低いものが割高であると一概に言い切ることはできません。何か特殊事情があるのではないかと常に考えることが大切です。



(3)J-REITの投資指標2…PBR

 PERは利益に着目した指標でしたが、PBRはJ-REITの持つ資産価値に着目したものです。株式投資と同様の計算方法で、株価が一口当純資産の何倍に買われているのかを見るものです。J-REITが保有する資産を現金化して、負債を返済、残った財産を投資主に分配した場合の価値と株価を比較する。一般企業における事業価値に比べて、不動産の価値ですから直観的にわかりやすい指標と言えます。J-REITのPBRは概ね1.1〜1.6倍程度となっています。
 PBRの計算のもととなる一口当たり純資産額は帳簿上の価格です。J-REITは歴史も浅く、不動産を取得したのはここ数年であるために、今のところ帳簿上の価格と実勢価格に大きな開きはないと考えられます。NAV(Net Asset Value)という指標があります。これも直訳すると純資産価値ということになりますが、一口当純資産額が帳簿上の価格であったのに対し、NAVはひとつひとつの不動産について独自に価格を査定し、どの程度の価格であれば売却できるかを評価したものです。証券会社や投資顧問会社等が物件を詳細に調査して独自の評価額を算出することも可能でしょうが、一般の投資家には困難です。一般投資家の場合には決算期ごとにJ-REITが公表する不動産鑑定評価額で、帳簿上の資産額と鑑定評価額の合計を比較することによって簿価と実勢価格のズレをチェックすることが現実的です。

text: ケン不動産投資顧問株式会社 伊東尚憲

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