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不動産投資講座
18.不動産運用(所有)時にかかる費用(III)
 今回は、不動産運用時にかかる費用のうち、借入金(ローン)に関することについて触れていくことにします。ローンを利用する際の主な比較ポイントとしては、金利水準や選択できる金利タイプ、返済方法などがあります。
(1) 金利タイプの選択
 不動産投資をする際に借入れ(ローン)を中心に資金の調達をする人には、現在の低金利の状況は、非常に魅力的といえます。しかし、この低金利がいつまで続くかはわかりません。今後、金利が上昇する可能性もあるでしょう。投資をする際に、金利が変動するタイプのローンを利用した場合、金利の上昇によって、ローンの返済額が増えてしまう可能性があります。ローンの返済額が増えると、当然、手取り収入は減り、収益も下がってしまいます。
ただ、中長期的に見た場合、金利上昇の背景が、景気回復に伴うようなものであれば、賃料や不動産価格の上昇も見込めますので、結果的に金利上昇による収益の悪化を軽減できることもあります。また、不動産投資において、借入金の利子は、不動産所得の計算をする際に必要経費に含めることができます。その結果、一定の税務効果が得られますので、住宅ローンと比べると金利上昇の影響は小さいともいえます。
 いずれにしても、中・長期的な事業計画に基づいて、金利タイプは選択する必要があります。

<代表的な金利タイプおよびその特徴>
分 類
特 徴
全期間
固定金利型
返済期間中の金利が、当初設定されたとおりに固定されるタイプ。
借り手にとっては、高金利時代には不利だが、低金利時代には有利といえる。返済額が固定されるので、事業計画が立てやすいなどのメリットがある。
変動金利型 市場金利の変動に伴い、ローン金利も変動する。短期プライムレート連動型、長期プライムレート連動型などがある。
借り手にとっては、通常、金利が全期間固定金利型などと比べて低いので、元本を早く減らせるメリットがあるが、金利が上昇することで毎回の返済額がアップするリスクを回避できない恐れがある。
固定金利
選択型
一定期間だけ金利が固定されるタイプ。
選択できる期間は、3、5、7、10、15、20年などがある。選択期間中および選択期間終了時の取り扱い(途中での期間の変更等)は、取り扱い金融機関によって異なる。
固定期間が短いタイプほど金利が低くなり、その際の借り手からみた場合の留意点は、上記の変動金利型と同様。

(2) 金利の種類と特徴
 金利には、大きく「短期市場金利」(短期金利)と「長期市場金利」(長期金利)の大きく2種類あります。短期市場金利とは、取引される金融商品の満期までの期間が1年以内の市場(短期金融市場)で決定するものです。一方、長期市場金利は、その期間が1年超の市場(長期金融市場)の公社債(債券)市場で決定するものが代表的です。
 短期金利は、日本銀行の金融政策による影響が大きく、日本銀行によって操作されているといっても過言ではありません。金融政策とは、日本銀行が物価の安定を実現することを通じ、日本経済の健全な発展に資することを目的として行う政策全体のことをいいます。主な目的は、貨幣価値の安定=物価の安定(消費者物価指数の推移等を勘案)です。したがって、金融政策は物価動向に応じて実施されることになります。具体的には、金融政策決定会合(原則月2回程度)で決まった金融市場調節方針を実現するために、短期金融市場における資金の総量を調節しています。
「変動金利型」や「短期間(2、3年など)の固定金利選択型」といった金利タイプが、短期金利の変動の影響を受けやすいことを押さえておく必要があるでしょう。
一方、長期金利は、短期金利の推移や将来の物価変動、長期の資金を借り入れて行う設備投資の収益など、景気や経済動向に対する“予想”に基づいて市場で決まります。「新発の10年長期国債の流通利回り」が長期金利の代表とみなされています。一般的に、資金の運用期間が長くなるほど不確実性が増し、リスクが高まるので、長期金利は予想される短期金利の平均値にこのリスク分(リスクプレミアム)が上乗せされて決められていると考えられています。
 「全期間固定金利型」や「長期間(10、15、20年など)の固定金利選択型」といった金利タイプが、長期金利の変動の影響を受けやすいことを押さえておく必要があるでしょう。
なお、今後の金利予測においては、通常、金利上昇局面では、長期金利の方が短期金利より先に上昇していくことはふまえておいた方がよいでしょう。

(3) 返済方法
 金融機関から融資を受ける場合、主な返済方法としては、「元利均等返済」と「元金均等返済」の2つがあります。「元利均等返済」は、毎回の「元金部分」と「利息部分」を合わせた返済額が全期間同じになるように計算されています。返済当初は、「利息部分」の割合が「元金部分」に比べて高くなり、徐々に「元金部分」の割合が高くなっていきます。
 一方、「元金均等返済」は、元金部分の返済を一定にする返済方法です。利息は元金残高により計算されます。「利息部分」の返済は毎回減少していくので、毎回の返済額は徐々に少なくなっていきます。元利均等返済と比べて、当初の返済負担はきついが、着実にローン残高が減っていきます。
 当初のキャッシュフローは通常、元利均等返済の方がよくなります。しかし、将来の金利上昇のリスクを懸念される場合などには、元金均等返済の方が元金の減りが早いためその影響は少ないといえます。一概にはどちらが良いかはいえないので、それぞれの特徴をふまえた上で選択すると良いでしょう。



[FPアソシエイツ&コンサルティング株式会社 大倉修治]
     
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