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不動産投資講座
5.不動産投資の事業収支計画の考え方
 不動産投資は、一つの事業といえます。“不動産事業”を成功させるためには、事前に収支計画を立てて、シミュレーションを行い、採算性についてよく検証することが重要です。今回は、現物不動産投資を前提に、事業収支計画の考え方について見ていくことにします。
(1) 事業の資金計画を立てる
   まず、不動産投資に必要な資金総額(総事業費)を見積もった上で、それをどのように準備するかを検討します。具体的には、自己資金(手持ち資金)とローン(借入金)の割合をどのようにするかを決定していきます。
  投資期間中の資金繰り面での「安定性」を考えると、自己資金の比率を高くした方が無難といえます。しかし、「収益性」は、レバレッジ効果が得られない分、低くなることが想定されます。
  期待する収益(リターン)と借入金の比率を高めることによる事業の不確実性(リスク)とのバランスや自己資金投入後の金融資産の状況を勘案した上で決定するとよいでしょう。
  投資した不動産から得られるキャッシュフローにもよりますが、自己資金の比率は“2割以上”というのがひとつの目安になると思います。また、融資の条件については、個人の属性(職業や家族構成、その他の借入れの状況など)や投資する物件の収益力、地域などによって異なることには留意しておいた方がよいでしょう。

(2) 「不動産所得」と「キャッシュフロー(現金収支)」を計算する
  現物不動産投資で得た家賃収入等は、「不動産所得」として扱われ、家賃収入等そのものではなく、「収入(家賃収入等)」から「実際に支出する必要経費」と「減価償却費」(実際の支出を伴わない費用)を差し引いて計算します。
 ※「不動産所得」の仕組みについては、「3.不動産投資のメリット(2)節税効果」もご参照 ください。

 一方、「キャッシュフロー(現金収支)」とは、家賃収入等から「実際に支出する必要経費」と「借入金元本返済額」、「税額」(不動産所得がプラスになることなどに伴う)を差し引いて計算します。
  「不動産所得」との違いとしては、不動産所得の計算式に“減価償却費”が含まれるのに対し、キャッシュフロー(現金収支)の計算式にはそれが含まれず、代わりに“借入金元本返済額”、“税額”が含まれています。

 ・不動産所得=収入−実際に支出する必要経費−減価償却費
 ・キャッシュフロー(現金収支)=収入−実際に支出する必要経費−借入金元本返済額−税額
             =不動産所得+減価償却費−借入金元本返済額−税額

 「キャッシュフロー(現金収支)」が、最終的に手元に残るお金ということになります。

(3) 事業収支計画のチェックポイント
    (1)、(2)に基づいて、長期にわたる収支の推移表を作成していきます。不動産所得がマイナスの期間は他の所得との損益通算によって節税効果が生まれることになります。プラスの場合は、税務上、利益が出ていることになるため税額が発生します。キャッシュフロー(現金収支)は投資を行わない場合と比較して、どの程度手取り収入の増減があるかどうかを判断するための数値となります。
  また、単年度だけでなく、中長期的な収支の推移についても検証する必要があります。収入や支出は、時間の経過とともに変動していくことが想定されますので、シナリオをいくつか立ててシミュレーションする必要があります。
  ただ、家賃収入や税金などの支出の推移を正確に予測することは難しいといえます。では、どのような観点でシミュレーションを立てればよいのでしょうか。
  事業収支計画を立てることの意味は、将来の状況の変化に対応するために事前に準備できることなどにあります。人それぞれリスクに対する考え方は異なるでしょうが、絵に描いた餅になっても仕方がありません。ですから、ある程度保守的なシナリオを立てておいた方が安心といえるでしょう。
  「保守的」というのは、収入については一定の空室率()を見込むなどして低めに、支出については、将来の修繕費等の支出を高めに見積もっておくといったことです。
  以上の点をふまえた上で、市販のソフトを活用するか、エクセルなどの表計算ソフトで作成するとよいでしょう。

※空室が収支に与える影響は、マンション1棟投資の方がマンション1室投資と比べ低いといえます。例えば、1棟10室のマンションであれば、1室空いても空室率は10%、マンション1室の場合は空室になったら空室率100%となるためです。



[FPアソシエイツ&コンサルティング株式会社 大倉修治]
     
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